包む


小学生の頃大好きだった福音館書店の月刊「たくさんのふしぎ」に、
「草と木で包む」という本があって私はそれをとても気に入っていました。
表紙に出ている卵を藁で包む卵つとや、笠を二つ折りにしたような鯛の包みなど、
なんてきれいで楽しいんだろうと見るたびにわくわくしました。
確か五又の葉で各自包まれたお団子の写真のページには、
「ほら、枝からそのままもぎ取ってきたみたい」なんて書いてあったと思う。
自然に還るものばかりでごみが出ないし、
何よりマテリアルを生かした無駄のない形なのが素敵だと思っていました。


それらを実際に見られる展示と知って開催を心待ちにしていたのでした。
目黒区美術館「包むー日本の伝統パッケージ展」、本当に面白かったです。
木、藁、竹、土、紙、などに分けられていましたが、
木の皮そのものを使うものから始まり、
それを精製した紙にたどり着くのですから流れとしてもよくできていると思います。
特に竹のしなやかさに感動しました。
竹の節や縦に割れる性質を上手く利用して繊細な包みが沢山生まれるのですね。
皮は布のようで柔らかく包むことができるし、
つややかな天然のワックスと香りがおまけについて実に美しいものでした。


多彩で面白かったのが藁。藁は細いひも状なので、
組み合わせれば液体以外どんな形でも包んでしまえるのだと知りました。
丸い卵でも納豆でも生魚でも…米や墨のように大きなものでも。
稲穂のまま用いたお酒の包みは並ぶと黄金色の田んぼそのものです。
またそれぞれの編み方や並べ方がミニマルを孕みつつ意外なので、
どうやって包むのか教わりたい!

卵つとのワークショップが在るようですが参加できないのが悔やまれます!


この展示は各地方のお菓子や手土産が好きな人にも楽しめると思います。
紙のブースでは京都の一保堂茶舗はじめ素敵なパッケージが沢山見られます。
ああ、楽しかった、そして食べ物の包みが多かったのでお腹いっぱいの気分です。