毛細血管の枝枝
今年一度目の井の頭公園散歩をしました。
よく冷える日でしたが、その分空が遠くまで澄んでいました。
上を仰ぐと、微細な枝がまるで硝子にはいったひびのように見えます。
手を伸ばしたら崩れてくるかも知れません。
向こうにずらっと居並ぶはスワン・ボートのお尻です。
大友良英さんが来月ここで日没ライブをするようですが、
スワンだったらいいのになあと思います。
遠き山に日は落ちつつも木々のトンネルから顔を覗かせる、
太陽の大らかさと茶目っ気がすてき。
鴨がいっぱい泳いでいました。
うしろに続く水紋がだわだわ広がって映る景色が縮れていきます。
見る間に空の青みが大方消えて、金色の縁取りが出来てきます。
じわじわとリュウグウノツカイのような雲が近寄ってきていますが、
回遊しているのでしょう。
諸星大二郎「栞と紙魚子」に出てくる夜の魚みたいです。
橋のたもとの外灯はきらきらで宝石みたいでした。
池の向こう岸を見ると、
木々の枝が細かに張り巡らされて毛細血管みたいでした。
手前のしだれざくらの枝はおいでおいでしているし、
きれいだけどなんだかちょっと怖かったです。
この手に桃色の花がたわわに生るのももうじきです。
春よ、こい。