odekake

言い伝えの変容

京都は夜が早く訪れる街である。 東京があまりに眠らない街だったことの裏返しでそう感じるんだろう。 スロースターターの私は気がつくと一日何も出来ないまま、 とっぷりと暮れた空気の底面で後悔している。 それもあってこちらでは本ばかり読み耽っている…

萌え出のち晴れ

GW後半は母親が上洛し遊びにやってきたので、 お日様ぴかぴかの暑い日に一緒に府立植物園へゆきました。 ここの植物達は本当に生き生きと呼吸をしているのがよくわかる。 整備されすぎず奔放に育っていて、やんちゃな雰囲気です。 まるで親戚の家の畑でも…

海辺の男の子

(これから思い出し日記をぽちぽち書いてゆきます) この頃は心身ともに限界だったので数日間帰省していました。 海へも行きました。 大きな余震の続く時期、東北関東では恐らく近づく者のない場所でしょうが、 こちらはのんびりとした日常のままの日本海で…

小石川植物園

道しるべという名の木に導かれて小石川植物園へゆきました。 梅の盛りには梅を、桜の盛りには桜を、目いっぱい堪能したい。 今日咲いていた花も明日には落ちるかもしれませんから、 毎日が贈りものと思って過ごせたらいいな。 東京大学総合研究博物館に隣接…

馬橋稲荷

天気がすっきりした晴れだったので自転車で馬橋稲荷神社へ行ってみました。 ちょうど高円寺と阿佐ヶ谷の間に現れる、小さくはない神社です。 この辺りは張り巡らされた細かい路地に区切られて方向感覚が狂いそうになります。 鮮やかな朱色が美しい一の鳥居、…

毛細血管の枝枝

今年一度目の井の頭公園散歩をしました。 よく冷える日でしたが、その分空が遠くまで澄んでいました。 上を仰ぐと、微細な枝がまるで硝子にはいったひびのように見えます。 手を伸ばしたら崩れてくるかも知れません。 向こうにずらっと居並ぶはスワン・ボー…

調神社

新しい年の初詣は、かねてから焦がれていた浦和の調神社へ行きました。 調の字は「つきのみや」と読みます。 この事から月に使えるものとして兎がモチーフになっている神社です。 卯年である今年こそ機は熟したのだと思い、 きんと晴れた寒い日に訪ねゆきま…

毛玉雲とちくわ

ある秋の夕暮れ時間、築地辺りを散歩しました。 刻々と空の色は変わってゆきます。 11月の雲は筆で水彩絵の具をさっと掃いたような感じなのです。 天使の髪の毛のように繊細でやわやわしています。 そこに橙色と水色がグラデーションで乗っかるのはとても美…

越中するの巻

10月20日は散歩の醍醐味がむぎゅむぎゅに詰まったルートを歩きました。 一人で秘密にしておきたいような、でも誰かに教えたいような。 始まりは蔵前からです。 スカイツリーのお足下の町並みが最近とても好きでよく訪れます。 蔵前橋。隅田川には色とりどり…

哲学堂

陽が優しくてついついまどろんでしまいお休みの日も半分過ぎた頃、起き出す。 新井薬師前からほてほて歩いて妙正寺川沿いの哲学堂公園へ向かいました。 ここは、黄みがかった斜陽がよくお似合いの、小さなパラレルワールドでした。 この公園の起こりは東洋大…

夜は瞬膜の此方

ずんぐりむっくり、コミカルな体型の蛙は小さな丘のように佇んでいる。 その眼はどこを見ているのでしょうか。 爬虫類・両生類はそれほど好きではなかったはずなのに、 いつの日からか興味津々になっている自分がいます。 せっかく都民の日で上野動物園に無…

9.22キョウト

京都在住の弟と一緒にのびのびと過ごしたのが最終日のこの日。 明示した目的地に弟が土地勘を駆使してするする連れて行ってくれました。 旅行につきものの緊張感がないものだから、とても気持ちが楽でした。 町から消えゆくもののひとつ、京都の仁丹看板です…

9.21キョウト

ぴかぴかお日さまの光で目が覚めるという嬉しいお天気。 さあ今日は月に一度の弘法さんの縁日、五重塔がそびえる東寺に行くのです。 京都は当然のように暮らしにお寺や神社が溶け込んでいて、 プライドという面も大いにあるだろうけれど、 素敵なことだと素…

9.20オオサカ

ぽーん、と新大阪駅のチャイムが鳴って、 駅の中に降り立てばそこはもう西の空気でした。 やっと旅に出ることが出来た嬉しさではち切れんばかり。いざ、大阪! 今回の旅の目的は太陽の塔で、たっぷり元気をもらいに来たのでした。 以前、春に来た時はまるで…

大哺乳類展

夏を取り戻せ★とばかりに遡り日記もつけてゆきます。 7月20日、 国立科学博物館へ大哺乳類展(海の仲間たち)に行って参りました。 圧巻のシロナガスクジラ全身複製骨格です。 海の王様はさながら大型客船の甲板のようでした。 さあ飛び乗って海原へ旅に出る…

神代植物公園2

5月の魔法でトトロに会いに行ける小道を発見しました。 霧にけぶってつやつやの緑色に誘われてぞくぞく、いざ進めー。 小道を抜けると大温室の中でした。真っ赤なカラーと出会いました。 真ん中の蕊がくるりと捻じ曲がっているのはなぜなの、不思議の国。 月…

神代植物公園

5月はばらが一番きれいに咲く季節です。 ばら園といえば神代植物公園だというわけで、すわ、出かけます。 まずは好きな色、桃色の花のもとに一目散に飛んでゆきました。 この日はあいにくの雨天でしたが、ぷつぷつと雨粒ではずむ花びらも素敵でした。 鼻を近…

さんまの内臓覗いて見れば

ぴかぴかに晴れた暑いくらいのある日、目黒をお友達と歩いて参りました。 寄生虫館を冷やかしたりして体じゅうがうぞうぞしてきたところに、 外の太陽光線はいつもどおり足元に濃い影を作ってくれるのでした。 人心地ついてぐっと地面を踏む。 見えないけれ…

風薫る、つる伸びる

子供に返って五感を爆発させたいと思っています。 本当はいつでも岡本太郎のように純粋に奔放であれたらいい。 けれども、悲しいかな社会に嵌り込んでいてはなかなかそうも行かず、 知らぬ間にストレスの灰が降り積もって足元から化石になっていってしまう。…

多摩の獣たち

世間でのGWは私にとって繁忙期なのでもくもくと働いていました。 連休がない身にそれは若干羨ましくも感じますが、 一人が遊べるのは大勢の人間が働いてくれているからこそだと、 この仕事に就いてからしみじみ感じるようになった。 感謝の気持ちを忘れない…

虫から蝸牛まで

ある日突然、一人暮らしに終わりを告げることになりました。 一匹の得体の知れない虫が私の部屋にやってきたからです。 お客さまを無下に追い払うわけにもいかないので、 好きにしてもらっていたら早や一週間、奇妙な共同生活です。 彼に必要なのは5mm四方、…

昭島飛行機工場

今日も今日とて上空には飛行機がするりと通り抜けます。 ひっきりなしに飛行機の定期便が見えるこちらは、昭島です。 この日、昭和記念公園へ行こうと中央線をごとごと下っていたところ、 地図をめくったらたまたま「昭和飛行機工場」の文字が飛び込んできた…

頭に花びら千鳥ヶ淵

さてさて、桜が咲いている今この瞬間をあます所なくほおばります。 雨でも風でもなんのその、この日は皇居ぐるりで千鳥ヶ淵へゆきました。 ずどんと太い幹が迫り出していて、元気がもりもり沸いてきます。 平日の九段下なんていうものは、遠い目。 こちらへ…

隅田川さかのぼるの巻2

私はやみくもに歩いて迷子みたいになる散歩も好きだし、 マップ片手ににらみつつ辿る散歩も好きだし、 でも何より、家に帰って今日歩いた道を地図上で反芻して、 もぐもぐ噛みしめるときが例えようもないくらい幸せです。噛むほどに美味しい。 体めいっぱい…

隅田川さかのぼるの巻1

晴れて気持ちのよい暖かさだったので、久々に結構な距離を散歩しました。 初めて馬喰町で降り立ちましたらば、浅草橋のすぐそばでした。 それにつけてもばくろちょうってつくづく不思議な響きです。 これは気泡や弛みが生まれて味のある、アガタビルの蜂の巣…

調布飛行場とチーズケーキ

4月1日、桜はよく咲いて花びらを撒いています。 折りしも嵐のような突風、春独特の目のまわるような妖気を放っています。 毎年この時期になると、世の中の華やかさとは裏腹に私は陰陰滅滅です。 半径1mを覆う透明の膜のような心もとない気持ちが湧いてくる。…

ウンダーカンマー

仕事帰りに東大総合研究博物館に寄りました。 茗荷谷は学校や緑地が多いので桜の樹木もたくさん並んでいます。 暖かい日差しの中でうすもも色の花びらが舞ってとてもきれいです。 そこをゆくのはお春じゃないかー、とはっぴいえんどを歌いたくなる気持ち。 …

砧公園

目が覚めるとよく晴れて気持ちのよい朝です。 今日は一度も行ったことのない公園へ行こうと思い立ちました。 電車で初めて降り立つ千歳船橋まで、 そこからはごとごとバスに揺られて砧公園に着きました。 初めての場所はそれだけでわくわくしますが、 それが…

和田掘公園

昨日の夜、沈丁花の香りがほのかに広がっていました。 橋本治いうところの、 「まだ春のはじめで、町の緑はくすんでいて、まだまだ美しくなんかありません」 という時期にだけ、優しくさりげなく漂うのがこの花なのでした。 花の名前にあかるくないのですが…

夜に梅のびる

三寒四温とはよく言ったもので昨日暖かくても今日寒い、です。 それでもじわじわと確実に季節が変わってゆきます。 この先には半袖で過ごす夏があるだなんて、まるで信じられない気持ちです。 そして今日も今日とて散歩、わしわし歩きます。 人間とは違って…