空と宇宙のススメ

空と宇宙は今も自分と繋がっているのに、
ぐんぐん上昇するとそれがロマンチックなものになったり、
こむづかしい数学になったりする。
いずれにしてもなんだか遠い感覚のものとなるのが不思議です。
10月27日国立科学博物館へ空と宇宙展を見に行きました。

気球や飛行船の芳しいフォルムといったらたまりませんでした。
セピア色の写真に残る風景とともに、時間旅行へ出かけます。

木製の飛行機模型が上空を飛び交って混線状態を呈しています。
緻密な設計図、今でこそ触ると壊れそうなほろほろの紙ですが、
これは未来のための壮大な青写真にほかなりません。

やっぱり単葉機より複葉機が素敵だと思います。
骨組みがカリカリ浮き上がってシルエットまで叙情たっぷりでした。

大友克洋的飛行機の心臓。
心の中で「うおおお!かっこいい!」と叫びどおしでした。
機械は理路整然として無駄がないから美しいのだった。
そこにあえて行間という無駄を与えるのが人間の仕業なのだけど…。

賢者のプロペラは回転しなかった。
飛行機や船は戦争の歴史と密接に関わっているので、
無邪気にこの型が好きだと表明しにくい面もあります。
客層を見てもその辺りが浮き彫りで興味深かった。
科学博物館での開催だったことはあらゆる意味で成功だったと思う。

時代とともに飛行機の描かれ方も変わってゆきますが、
戦前のポストカードや切手はデザインもぐっと来るツワモノ揃いです。

この度は飛行機にばかり夢中になり、
はさぶさカプセルも大きな感慨もなく通り過ぎてしまった。
私はロケットのミッションなど最新鋭のそれより、
過去培って来たものやそこに付随する文系の香りに憧れる程度の、
立場だという認識を強くしました。
ちなみに今回の図録は、
よく出来た飛行機今昔カタログの側面も持っていて素晴らしいです。