芝公園


昼下がりの黄みを帯びた光が優しいです。
鳩山郁子さんのUn Eatable Sandwitches〜あるいは藍晶石譜〜に、
出てきた学校の野外チャペルのようでした。
半円を描く石のベンチ群の向かう先には何があるのでしょう。

神父さんでもオルガンでもなくて大きな樹でした。
ここはどこかというと、芝公園の大きな樹の、へそです。
小さいながらも緑が植わっている場所なら想像はたちまち飛び火します。

三つ子の実はつやつや美味しそうで、そのうち鳥に啄ばまれてしまうだろうね。
どんぐりレーダーを働かせて歩き回るまでもなく土の上は木の実カーペットです。
ベレー帽のひともチューリップハットのひともごろごろお出ましでした。

彼岸花は先着一名様(知らない虫)の豪華お姫様ベッドになっていました。
朱色と若草色のコントラストが目にしみます。

一見分かりにくいけれど、葉っぱの上一枚一枚に金色の反射が起こっています。
それが遠目にクリスマスの電飾みたいでとても美しかったのでした。

やっと、きのこをひとつ発見いたしました。
雨の次の日はきのこむくむく率が高いので公園へよく赴くのですが、
この日は後にも先にもこれっきり…溶けかかったアイスみたいで面白い。
もしかするとサルノコシカケと結合している菌類なだけかもしれないけど。

壁にみっちり張り付いて伸びて伸びて、生命力を感じさせる壁画です。
蔦の、したたかで人を食っているようなはびこりかたは勇気がわきます。

よその木をぐるぐる巻きにしたうえ、
自分の光合成のためには容赦なく葉を広げるこの力強さに唖然です。
でもまるでこれが完成品かのような一体感は不思議なものです。
視点を変えれば狭い公園でも楽しみは無限大で、
時間はいくらあっても足りないのでした。