スコール

雨粒のダンス・イン・パキラの若葉。

朝は小雨ながら穏やかだったというのに、
空はにわかに掻き曇って土砂降りと相成りました。
もう「お見事!」と手を叩いて喜んでしまうほどの荒れ模様です。
読んでいた本をほっぽりだし、窓辺にかじりついて思う存分楽しみました。
昼とは思えない黒々した分厚い雲が時折ぱっと明るく染まります。
そして数秒後に耳をつんざく轟音がとどろいて家がずずず…とゆれるのでした。
叩きつける雨粒で覆われコンクリートが滝つぼのように見えています。
いつもあの辺りで丸くなっているのら猫はどうしているのだろうか。
軒下でもどこでもいいからぬくぬくできる所におはいんなさい。
しかし、本当にこの日は、さしもの私も怯えるほどの威力ある雷でした。


窓ガラス一枚隔てて日本海の荒波のようになっている世界を見ると、
小学校の頃の図工の時間を思い出します。
図工は1日の最後の5・6校時にあてがわれていることが多かったのです。
工作や絵を描くことでそれだけでも個々の世界にこもっているのに、
ガラスの向こうでは台風でものすごいシケと化しているあの情景はすごかった。
2重3重に遮断された繭みたいな不思議な空間。
安全が保障されているシェルターの中の妙な一体感が嬉しいのと、
一斉下校になったら楽しい図工が中止されてしまうという不安とで、
どきどきしていたことを今でもしっかり覚えています。


幸いにしてお休みの日だったので、たっぷりとスコールに溺れました。
凶暴にして単発ではあったけれど、
これだけ恵みのお湿りがあればぐんと秋が深まるはずです。
雨が来る度に次の晴れの空気が乾いてゆく、気温も沈んでゆく、
そしてだんだん、おいでおいでしている茶色や臙脂の世界に覆われてゆきます。