9.21キョウト

ぴかぴかお日さまの光で目が覚めるという嬉しいお天気。
さあ今日は月に一度の弘法さんの縁日、五重塔がそびえる東寺に行くのです。
京都は当然のように暮らしにお寺や神社が溶け込んでいて、
プライドという面も大いにあるだろうけれど、
素敵なことだと素直に思います。
そんな訳で路地から東寺へ向かって人が溢れて束になってゆきます。
1000店以上がひしめき合うといわれる敷地内は迷宮のようでした。


蛇が浸かっている大きな酒瓶の前で微動だにしないお姉さんや、
猛暑にも負けていない営業魂燃えさかるトークもさることながら、
「お父さんエッチな写真あるよ、見る?」「えーいくらなの。」
というひそひそ話を耳にしたときはびっくり仰天しました。
縁日とはいえ現代においてそんな裏路地商売がまだ成り立っているとはね。
仮にも仏様を祭るお寺の中で罪深いことです。
というのは嘘で、愛嬌だなあと耳を大きくして盗み聞きしていました。
私のほうがよっぽど罪深いことです。
おじさんは最後にこう言いました、「おれは写真より実物の方がいい。」


私が手に入れたものは20年代のポストカードたちです。
鍾乳洞や渓谷の写真、またはそれを彩色した不自然総天然色の素晴らしいもの。
あとはハワイの魚の博物画集など良いものと出会えて収穫でした。
しかし、尋常でない日差しに判断能力を奪われてこれ以上の買い物は危険です。
五重塔も宝物閲覧も楽しむ余裕がないままに、目を廻しました。ぐるぐる。
何にせよこのうだるような暑さに、盆地の底力を見せつけられました。


お昼ごはんは田毎の京都きつねを頂きました。
あんかけにおろし生姜がたっぷり乗っていてきりりと生き返りました。
麺にもっとこしがあればなお良かったです。

寺町を散策するのは好きです。
まず市役所の建物が重厚でかっこいい。
不思議と「また出会った」という気持ちになります。
そして今まで気付かなかったことをこの日発見したりもして、
歩く人が変わればアンテナに引っかかるものも全然違ってくるのだということ、
実感したことがお土産の一つとなっています。
写真は銭湯の壁で、ゆという文字となぜかきりんがタイルの上に鎮座しています。
ゆという文字はじーっと見つめると母と子のまなかいの一瞬にも思えるのでした。

日が落ちてからだったのが残念ですが、蹴上発電所の建物です。
しっとりと浮かび上がって作りこまれている装飾がよく分かります。

インクラインの下をくぐり抜けるための通路は、
夜だったからか異世界のようでした。
琵琶湖からの水も夜も同じで、勢いをつけてやってきます。