あんどろぎゅぬ氏

雨がしとしと、土は匂いたち、緑はぐんぐん水を飲んでいる。
コンクリートのひび割れの隙間から30カラットの輝きが覗いている。
少し肌寒いけれど初秋らしい日でした。


銀座gallery-58へ「前衛★R70展」を見に行きました。
おそらく、私の最も尊敬するアーティストで最も影響を受けているお二人、
赤瀬川原平氏と中村宏氏を含む6人の方々の展覧会です。
R70というのは70歳未満禁止…つまり70歳以上だけが参加できる展覧会。
over70のアーティストによる完全最新作のお披露目といわけです。
なんてエネルギーに満ち溢れていて明るいのでしょう。
私も、お茶目でかわいく真面目に不真面目をやっちゃう大人になってゆきたい。
戦争も大阪万博も知らない子供達だけれど、
ああいう人達が先輩としているならばなんだってやれる、そう思っています。
こじんまりの展示ながら濃いエキスを存分に吸わせてもらいました。


SAGへ「オマージュ種村季弘展」の後編を見に行きました。
先ほどの会場で堪能した作家の作品も数多く並べられています。
井上洋介氏のこちら側の絵はあまりにおどろおどろしくて、
対岸で育ってきただけに知らぬ間に何か呻いてしまうほどです。
前編を見に訪れたとき一番素敵だなと思ったのが、
親交のあった人々との往復書簡。
嬉しいことに続載だったためもう一度じっくりと眺めました。
澁澤龍彦氏とのやり取りがとても良いのです。
暖かくて、ユーモアがあって、所々に星じるしが飛んでいたりしてね。


東京タワーは足元のカーブラインが優美ですてき。
日が落ちるとなお美しくそそり立っていました。

夜はグランドピアノの待つ展望台で渋谷慶一郎さんのピアノソロライブです。
一見ロマンチックですけれども、
会場が東京タワーというのが若干抜け感があってよいです。

夜景までも繊細な旋律に乗せてとても贅沢な時間でした。
ピアノの生音の気持ちよさについ、するすると昇りそうで、
ここは地上から離れた高い場所なんだったとぐっと足を踏みしめる。

足元のガラスからは四方八方のライティングをたぐり寄せた光が集まります。
天井に影をつれてくる奥儀は幻みたいでした。

外は依然として雨でした。