ロックフェス


無善寺でロックフェスをやっているのでライブを観にゆきました。
ここに入るのは2,3年ぶりかと思われます。
週に1度くらい行っていたような時代もありましたが、それも夢のよう。
相変わらず変な熱気とほこり臭さで充満していました。
人々の異様に鋭い眼光が闇の中でキラキラ光っているという場所です。
最早よっぽどのことがないと来ないライブスポットになったけれども、
いつだってある種の人間の一時的サンクチュアリで在ってくれと願うばかりです。


まずはTRANKO、私の大好きなバンドです。
ヨシノさんのエレキシタールの音はまるで魔術です。
奥底から意識を引き上げるように抗えない気持ち良さで、うっとりしました。
繰り返されるフレーズに呼応して聴き手もぐらぐらと螺子が弛んでいきます。
小杉さんのドラムは変わっていました。
別人の演奏かと思うほどに全く違うものに生まれ変わっていて仰天したのでした。
刻みつけ、たたみ掛け、重い音と軽い音のうねりが不思議なバランスでした。
同じ曲でもどんどんリズミックになってゆくTRANKOです。
きっと演奏する人たちは完成型なんか描いていなくて、
それがどこを掬い取っても感動する音なんてすごいなあと思います。
常にドキドキするのに安定感がある、心を満たしてくれる音楽の曼荼羅みたいな。


次にファンタスタス、期待を重ねていたバンドです。
柔らかく始まってだんだんと巨大なうねりになっていく音楽でした。
ここ最近、個展の準備で宇宙のことばかり考えざるを得なかった私も、
あっという間に「ああこれ宇宙だな」と腑に落ちました。
一曲の中にどうしてあんなに感情とか哲学とか詰め込めるのかしら…
そう思ってライブ後にゆきさんに話したら納得の答えが返ってきたので嬉しかった。
おこがましい言い方だけど、ゆきさんのドラムはぐんと大人になった気がしました。
精神力と体の力の均衡がとれているという意味でのそれです。
フロントマンの尾林くんの表情とギターもこの世のものとは思えなかった。
すごいファンタスタス
もうどこにもない音楽で知らない所まで連れて行ってくれちゃうんだね。


このように濃厚で頭がはち切れそうになったので、2バンド見た後は外に出ました。
秋の訪れの夜、虫の声をすり抜けてライブのことを反芻しながら帰りました。
素敵な夜をありがとう。