You Are Here

朝目が覚めるとぴかぴかの太陽が輝いていました。
雨が上がりゆえに、アスファルトでさえきらめくトップコートが素敵です。
ようやく風邪が治った体は、やりたいことではち切れそうでした。

写真美術館でジャンルー・シーフ展を見ました。
のっけから力強い白黒に隙の無い構図でどーんと来ます。
人間の手によって作られた美しさを極限まで引き出して留める写真の数々。
この人の手にかかれば、
老若男女問わず一等美しい瞬間をとらえるのかと思いました。
ヴォーグ・フランスなどのファッション雑誌で活躍していた人なので、
女性の身体のラインはそれだけで芸術品だと言わしめるものを呈しています。
往年のシャーロットランプリングやジェーン・バーキンも息をしている。
それから老いた人の皺や男の人の体毛までも、
なんて言うのか、すごく品の良いものになっていてきれいでした。


私は写真を撮るのが苦手でセンスもないので、
ここでアップする写真も自信がなく本当はとても恥ずかしいと思っている。
何か写真以外にビジュアルを直接提示できる手段があるならば、
迷わずそれを選択しているはずなのです。

そんなレベルだからきっと、
写真美術館で自分が空っぽのまま感動を入れて帰れるのか、とも思います。
美術館を後にしてガーデンプレイスを歩いていると
外国人のお姉さんが「あなたの写真をとらせて」と声をかけてくる。
人間を撮る時は、会話なくしてはあり得ないんだと腑に落ちる感じがしました。
お姉さんタンクトップ一枚、私半そでのワンピース、初夏の香りでした。

表参道に移動してワタリウムジョン・ルーリー展へゆきました。
初めて絵を見ましたが、これは自分に体力のある時で良かったです。
静寂に包まれているけれど銃を持つ兵士に囲まれてもいるような、
優しさと悲しさが半分ずつといった気持ちにさせられます。
思い浮かんだものをそのまま絵におこせるのはすごいことだけども、
気持ちの良いものばかりとは限りません。
オブラート皆無の彼の絵は、だからそれが怖かったです。


意識の表裏がないような人なのかな、でも無垢とは違う気がする。
まあなんやかんや言うより、
実際目で見て来れたのでそれだけで十分だと思います。
私はジム・ジャームッシュの映画を良く見ていたので、
ルーリーに関しては俳優のイメージが強かったのだけれども、
ラウンジ・リザーズってアート・リンゼイと一緒にやっていたのかー。
会場に流れる音楽もかっこよかったので聴いてみたいです、ラウンジ・リザーズ。

ワタリウムの階段で。