さあライブへゆこう


ショウボートくんだりまでシベールの日曜日のライブに行く。
ステージに立つ坪内さんを見るといつも、
この人はロック界の澁澤龍彦だなと思ってしまう。
美学が徹底しているところ、洞察力のあるところ、ナルシスティックなところ。
そういう水煙が渦巻いている中から轟音が響くのであるから痺れてしまいます。
全ての楽器の音が渾然一体となって投げかけられるので、
意識が一つ一つにあまり特化しないためにぐんぐん引きずられるのかな。
トリップしてしまう音楽って得てしてそうなのかも知れません。


とは言え、ナイフみたいなギターはかっこいい。
そしてベースラインがシンプルでがっちり固まっているのが好きです。
耳にインプットされて頭の中でじわじわ増幅されてゆくのがとても気持ち良いです。
後半の演奏は凄まじいことになっており、
磁場の歪みが発生したりするんじゃないかというくらいでした。
シベールの演奏は見るたびに骨太なものになって、
いつも「この前」を超えてゆきます。
どんどん高みへ、これからどこへ、連れて行ってもらえるのか。


次は久しぶりに見ることになりましたlos doroncosで、
こちらはまたシベールとは違う完成度の高さを持ついいライブでした。
どろんこさんのああいう優しさ、
羨ましく思うけれど一朝一夕に手に入るものではないでしょうね。
死んでしまった友達へという歌を聞いていてはっとしました。
その曲が始まる前から、死んでしまった金子さんのことをなんとなく考えていて、
天国でもお酒飲んでるんだろうか…と思いながら私は演奏を聴いていたからです。
sevenさんのギターはとても好みで、
目と耳をスポンジのようにして吸収したから今だってありありと思い出せます。
los doroncosは明るくて、リズムがかっこよくて、うっとり。
皆さんが楽しそうだったのも嬉しかったです。


数年前に比べてライブへ行く回数がぐんと減りましたが、
厳選しているぶんいつも素晴らしいライブを体感させてもらっている。
がむしゃらに動いてインプットする時期は過ぎ去ったけれども、
培ったベクトルでもって感動することが出来るのは幸せなことだと思います。
もぐもぐ反芻してみて、
文章に起こしたり心の扉へ仕舞ったりできるゆとりが出来ました。
音楽よ今夜もありがとう。