りんごライブ

藤田建次カルテットのライブを見に行くために、
池袋の異常な喧騒を息を止めて走りぬけてりんごやへ向かいます。


藤田さんの音楽は毎日実に生活の一部のごとく聴いているのだけれど、
毎日新しく感動するし、毎日がそれによって救われている。
初夏が巡るたび私の頭の中で森田童子が歌いだすように、
今後は晩春が訪れるたびに藤田さんが歌ってくれて、
私の季節のダイヤルをギリリと廻してくれるのかも知れない。
回転する季節、それはとても素敵だと、今から楽しみにしています。


今回はピアノ・ドラム・ベースに歌が乗るという構成でした。
リズムが力強く刻まれるので始めはピアノが負けていましたが、
バイオリンのしなやかな音が入ったと同時にバランスが築かれました。
そしてとても素晴らしいライブでした。
前回のように、張り詰める緊張を共有して楽しむという、
観客もバンドの一員みたいなライブも好きですが、それは精神力を使う。


この日はそうではありませんでした。
シェフの巧みな手さばきを見るように安心して手放しではしゃげるライブ。
これこそバンドの掛け算音という感じでとても気持ちよく聴けました。
皆さんがとても楽しそうで、伸びやかに演奏するのを見て嬉しかったです。
「良いもの」とは誰をも平等にガツンとやる。
特にドラムの上手さには舌を巻いて、ぐるぐるまきまきになりました。


本当に良い演奏をごちそうさまでした。
Oさんの音楽に対する鋭く優しい話を聞けたことも含めて、良い夜でした。
ただひとつ、一部男性のもうれつな足臭さを除けば(靴を脱ぐ箱なのである)!
あれは、ダメ、ゼッタイ。ストップ環境破壊。