光を眺めて

いよいよ新緑の季節がやってまいりました。
枝々には柔らかい新芽が溢れて、風もうぶな良い香りがしています。
自転車で道を駆け抜けるとき幸せのあまり笑顔になってしまいます。

夜はnekiちゃんの企画したライブを聞きにペンギンハウスへゆきました。
私も(一方的ですが)大好きなアーティストばかり、嬉しい空間でした。
これは偶然ではなくて必然あるいは当然のことと思ったのは、
nekiちゃんの優しい歌声に集う人たちの、
一様に豊かな内面を抱えているという共通点からでした。


この日すがわらゆきのギター弾き語りを初めて聞くことができました。
伸びやかな声に「おんな」としか言いようのない血の通った詩が乗って、
ぞくっとするほど魅力的で素晴らしかったです。
彼女のドラムが好き過ぎてギターを聴くのが怖くて、今まで避けていたけれど、
自分の感情を表すツールとして彼女はギターも見事に外へ向けていた。


そして真美鳥、とんでもなさに圧倒されました。
曲を聴いていると本当に浮遊しているようなトリップ感を味わいます。
数年前よりさらに削ぎ落とされシャープになった、音の粒々に引っ掻かれます。
私は半眼のまま旅に出てレム睡眠とすれ違ったのですが。


Temple Bookは、聞いていると、生きていることが嬉しくなる音楽。
風を受けた花が震えるのを見ているみたいな繊細にこぼれだす音楽でした。
真ん前で彼女たちの緊張を嗅ぎ取りながら息をつめて聞くのは素敵な時間だった。
でも本当は自分だけの箱庭に詰めてお膝の上に乗せて可愛がりたい、
そんな曲の数々でありました。
ですから実は、
ステージと客席側がきっちり線引きされている空間でライブをするのが向いている、
バンドなのではないかと思います。
次のTemple Bookのライブが楽しみです。


終演後吉田くんやゆきさんと久しぶりにお話ができて嬉しかったな。
私の昨年12月の個展についてゆきさんはこんな風に言ってくれました。
「音楽をやるよりもずっとあなたに向いている表現方法だと思うし、
良さが出ていると思う。すっごく面白かった。」
ゆきさんは私に「自分は自分のままで生きていて良いんだ、
周りに合わせて矯正することはないんだ、」と初めて思わせてくれた人です。


素敵なライブをありがとう、お疲れさま。