劇画家畜人ヤプー復刻版


雨が降るとてつもなく寒い日でした。
下北沢のビレバンにて行われた丸尾末広吉田アミトークショーにゆきました。
劇画家畜人ヤプー【復刻版】刊行記念「丸尾末広に聞くマゾヒズムの世界」。
丸尾氏が家畜人ヤプーを語るということで、楽しみにしていました。


私が家畜人ヤプーという本を初めて読んだのは十代の頃です。
倒錯的な発想と言葉遊びに夢中になって、貪るようにのめり込みました。
視点をずらすだけで世の中の色が100%変わって見えることが衝撃的でした。
まるで破壊と再構築。
もっと容赦なくやって、とか嗜虐的な自分が居たり、
それをを斜め上から見ている自分も面白かった。
本当はまず中学生の時に読み始めたのだけど、難しくて諦めてしまった。
でも今、あの頃無理にでも一度通して読んでおけば良かったと思います。
世の常識が染み込まない頭の柔らかいうちにこれを常識として刷り込んでいたら、
どんな人格になっていたのかなあと考えることがわりとよくあるのです。


トークでは沼正三という人物についてをお話されていました。
作者のバックグラウンドに目を向けたことはなかったので、
ふむふむ、と思うことがたくさんありました。
原作から漫画に起こす難しさの面では石ノ森版ヤプーを評価されていたけれど、
石ノ森版ヤプーは正直あまり食指が動くものではないです。
絵で表現成し得ていないし、畳み掛けの最終章が詰めも甘くがっかりです。
願わくばホラーかグロテスクの要素を薄く飴がけしたものであって欲しいところ。
既刊のもので一番私が好みなのは宮崎保之の挿画です。

丸尾氏は描かれる絵と同じに、
丁寧に言葉を選んでゆくご自分の言動に強い責任感を持つ方でした。
今読んでいる本が終わったら久しぶりにヤプーを読み返してみようかな。