歌川国芳展

金魚づくし にわかあめんぼう
雨はやみ、暖かく風もそよそよのお出かけ日和だったので府中へ行きます。
また府中!
休みのたびに出向くならいっそ住んだほうがいいんじゃないかとさえ思います。
武蔵小金井三鷹から府中までのバスの道のりもほんのり覚えてくる始末。


今回は府中市美術館へ歌川国芳展を見にゆきました。
私はこの展示をすごく楽しみにしていました。
そして、その期待は倍以上になって帰ってきたのでした。
妖怪いっぱい猫いっぱい、本気で遊ぶ大人の凄みを目の当たりにしました。
西洋画とは違いどこかにピントを合わせるということがないものだから、
線も色もダイナミックでおまけに執拗で、笑ってしまうほど大迫力です。
以前から疑問に思っていたことですが、
写実的に描こうとすれば、
西洋画の知識がなくともそれに近い(見たままに近い)ものができるはず。
なのにどうして浮世絵とはこんな絵柄になったのでしょうか。
日本人のスピリッツか、浮世絵とはまさにマンガの原点ではなかろうかと思う。


生き物もお好きだったようで、とりわけ猫が多いです。
いかにも日本猫の「にゃあ」と広がった顔の感じがよく出ていました。
蛸はともかく鯨はほとんど目にする機会はないだろうのに、
あのぬろぬろ生き生きした絵はどうして描けるのかな。
蛙も、あの背中のいぼまでも含めて擬人化する手腕に平伏します。
鶏が商いしているのは卵せんべいだったりと、結構ブラックな所も多い国芳先生。


遊び絵や騙し絵も多くて楽しさは尽きることなく。
沿えてある文字が読めたならもっと楽しめるのに口惜しいぞと思っていたら、
図録にはきちんと記されていたので、お家に帰ってからもほくほく味わっています。
ここは、内容も環境も気を使ってある美術館だったので、
心の底から気持ちよく絵を見ることが出来ました。

公園が隣接しているので帰り道ものびのびと余韻に浸れることうけあいです。
この時期は一面花びらの水玉模様で、頭の上からも花びらのシャワーです。

うすぼんやりと鉄塔をフェンス越しに見ながら、東府中までぽてぽて歩きます。