隅田川さかのぼるの巻2

私はやみくもに歩いて迷子みたいになる散歩も好きだし、
マップ片手ににらみつつ辿る散歩も好きだし、
でも何より、家に帰って今日歩いた道を地図上で反芻して、
もぐもぐ噛みしめるときが例えようもないくらい幸せです。噛むほどに美味しい。
体めいっぱい使って楽しんできた事は私にしまい込まれて栄養になってゆきます。
そんな訳で隅田川さかのぼり後半のするめたち。

ぶつぶついぼいぼ、緑色の恐竜の背中はたおやかなカーブです。

これは柳橋なのでした。
かんざしのレリーフが据えられていて雅な趣きのはずが、やっぱり恐竜です。

浅草橋から両国をつなぐ総武線の高架下です。
ここは、有楽町高架下のれんがのトンネルにも負けていない、さびさび具合です。

上からなにがしかの液体がぽたぽた垂れていて怪しいのです。
破壊衝動と物語が生まれてくるような壁です。

右手に国技館が見えてくる頃、素敵な螺旋階段を発見しました。
古くてのっぽの建物にはくるくる螺旋がよく巻きついているものです。
なんだか、つぶ貝とかふじつぼみたいで可愛らしいです。

斜めラインをとっている配管というのはあまり見かけない気がします。
横着だから二段階右折しないで、
はいちょっと失礼しますよーとどさくさに紛れて本流に混ざる感じかな。

S氏おすすめの場所に案内していただきました。
実物は衝撃的にシュールです。もはや黙ってうなづくしかない。

ぺろーり、電信柱がしまい忘れた舌を見てしまいました。


隅田川を伝ってゆくと桜がもこもこ咲いていてよい気分でした。
だんだん日が暮れてゆく中、川には勢いよく水上バスが行き交う。
電飾たずさえてイカ釣り漁船みたいにぺかぺかでした。
水上バスは大好きなので暖かくなったらまた乗りたいけれど、
はたから見たらあんなオメデタイ御一行なのかと思うと苦笑いでした。

出ましたスカイツリー
このインパクトでまだ高さ半分なのかと思うとにわかには信じがたいです。
TOKYOはついに摩天楼に手を出してしまったのですね。
人間が小さい私などは、なんだか空恐ろしい、よくこんなサイケデリックなものをと。


馬喰町から業平橋、そして浅草まで歩いて大満足の一日でした。
そして今更ながら、これは川を下ってないんじゃないか、と気付いた次第です。
北に進んでいるだけで川自体は下流に向かっているんじゃないか?
またひとつ恥を晒してしまったような気がします。