隅田川さかのぼるの巻1

晴れて気持ちのよい暖かさだったので、久々に結構な距離を散歩しました。

初めて馬喰町で降り立ちましたらば、浅草橋のすぐそばでした。
それにつけてもばくろちょうってつくづく不思議な響きです。
これは気泡や弛みが生まれて味のある、アガタビルの蜂の巣硝子です。

普通の古いビルに、薄緑色の壁やタイルが残っているのが良かったです。

ひん曲がる非常口、これでは心もとないけれど、大丈夫でしょうか。

壁をつたう血管のようなチューブたちが逞しいです。伸びろ、伸びろ。
下から仰ぎ見るときのぐんと差し迫る感じもなかなか楽しいものです。

左、赤瀬川原平言うところの「原爆トマソン」。
隣のビルの名残がしっかり写ってしまった、別れの痛い傷跡なのだった。
右、王冠つきの可愛い中国茶器です。
出っ張っているものは皆触りたい。だから、てかてかになってしまう。

左、突然の出会いに躊躇いながらこんにちわ。出会うと嬉しいダクトの人。
右、振り向くとヤツがいた…ものすごく怖かった鉄筋ほねほねのビル。
本物はかなり大きく、迫ってくる怪物みたいでぞくっとくる。
私に言われて気づいたS氏もたまげていた。二人して無言でシャッターを押す。

京葉道路を歩いていると見えるビルのNさんは、上の突起が気になる存在です。
鳥になってあの管の連なりをついっと、すり抜けるところを想像して歩きました。

隅田川をまたぐ両国橋のたもとまでやってまいりました。
宇宙服の頭部みたいなこの丸いのはいったいぜんたい何なんだろうね。
自転車に乗ったおじさんがにこにこ顔で、
「もう少し先へ行ってごらん、スカイツリーが見えるよ」と教えてくれる。
川向こうを望むと確かに、この距離なのに随分大きい塔が見えます。
今まで全くスカイツリーに関心がなかったのですが、
あの大きさは尋常じゃないぞとにわかに塔好きの魂に火が付いてしまう!
そして、江東区墨田区の多くの皆さんが楽しみにしているようで、
街も活気付いて嬉しいといった雰囲気に、私も顔がほころぶのでした。