和田掘公園

昨日の夜、沈丁花の香りがほのかに広がっていました。
橋本治いうところの、
「まだ春のはじめで、町の緑はくすんでいて、まだまだ美しくなんかありません」
という時期にだけ、優しくさりげなく漂うのがこの花なのでした。
花の名前にあかるくないのですが、沈丁花だけは、
あのにおいと「じんちょうげ」という音がひとつになって記憶されています。
つい自転車を止めてありかを探したりしてしまう、魅惑の香りです。


沈丁花が盛りだと聞いて、次の日和田掘公園へゆきました。
折りしも雨で寒々しい夕方、人っ子一人いないので公園独り占めです。

桜の頃はここがそれは賑やかになるものの、今は不穏な黒いお堀。

おじいちゃんの手の甲みたいな節々、さぞかし働き者なのでしょう。

こちらは魔女の手、しなる指先でおいでおいでをしています。

命がたくさん灯っている息吹きの枝、幸せのブーケです。

ひしめいて自生している…ふきの花も、葉っぱも、好きな形です。


随分歩きましたが一向に私の、花もとい鼻アンテナは反応なし!
雨のために香りが散っているのか、閉じてしまったのか。
見当違いの場所ばかり歩いているのかもしれません。
そのままずんずん住宅街へと進むことにしました。

いきなり人生の分かれ道、二択で迫られる事態に直面。
まるで船の出航にも似ている、迷える子羊の巡礼スポットです。

釣堀の脇にそびえる蔦に侵食されたのっぽの建物です。
白い輪っかは多分浮き輪かなあ…遊泳禁止ということでしょうか…。

そして相変わらず鉄塔と見ると追っかけになってしまうのでした。
これは辿ってゆけば南高円寺の七つ森の辺りに着きます(経験者)。

雨の日、道に灯油が落ちると、こうなるのであった。
寒い日だったから誰かさんが赤いタンク提げて買いに行ったのかな。
小学生の頃はこの目玉が怖くて、うっかり見てしまった日は落ち込んでいました。

羽根その1、樹皮にささっています。
矢印かと思いましたが上には何もありませんでした。ガッカリ

羽根その2、これぞカラスの濡れ羽色。
ぎらつく落ち葉もなんだかなまめかしく思えてきます。

おいらの羽根だー。


沈丁花には出会えませんでしたが、
雨の日には雨の色の、楽しいものを見つけることが出来ました。