夜に梅のびる

三寒四温とはよく言ったもので昨日暖かくても今日寒い、です。
それでもじわじわと確実に季節が変わってゆきます。
この先には半袖で過ごす夏があるだなんて、まるで信じられない気持ちです。
そして今日も今日とて散歩、わしわし歩きます。
人間とは違って植物は花を咲かせたり葉の色が変わったり、
目に見える美しい変化があって羨ましいと思います。
桃の節句ですが自生する桃の花を見る機会はなかなかないのがさみしいところ。


先日訪れた湯島天神では梅祭りが開かれていました。

梅は桜に比べて樹木が黒くてごつごつ節ばっている。
花は小ぶりでさながら雛あられを撒いたように可憐です。

花と幹の関係ってうまくバランスが取れるものなんだと最近よく思います。
湯島の梅は予想以上に痩せっぽちでハイタウンが透けて見えるくらいなのでした。

それでも月夜と梅は良くお似合いで、お酒いらずで雰囲気に酔いしれそうです。
この細くくねる枝付きが大好きなのです、ぐっと来る。
梅は濃い赤が好みですがこう見ると、色のないシルエットも味わい深いです。

湯島のお犬様たちは、来る日も来る日も社の砦を支えています。
目つきは鋭いが撫でられて頭がてかてか、さぞ不本意に違いない。


日が暮れてから御茶ノ水まで歩きました。
見慣れためがね橋が川面に移って大きな円を描き、夜を吸い込む美しきレンズ。



これは清澄白河の路上にて偶然発見した小窓です。
中でにっこり笑っているピエロが屈んでいるのが見えるでしょう。
彼だけの小部屋は空に向かってこんなにオープンなのに、
きっとあまり話しかけられることはないんだろうな。
だから出会えてとても嬉しかったです。
なんだか私の足元もピエロじみている気がしてきます。
またいつか、会いましょう。