インターナショナル・ショーケース

東京芸術劇場にて行われたインターナショナル・ショーケース、
初日の音楽ショーケースへ行きました。
サックスの清水靖晃さんとピアノの渋谷慶一郎さんが共演です。
大きな会場で音響効果を使った空間演出がなされるかと思うと、
もう楽しみで仕方なかったここ数日間でした。


ピアノの一音一音がとても生々しくこちらに届きました。
ひとつの曲として聞くとうっとり身を任せられるのだけど、
ライブだから当たり前だがものすごく集中力を使います。
まるで舞踏みたいなピアノソロで、びりっと感電しそうです。
目の動きや呼吸のタイミングまで、
確実に現れてしまうシンプルな音の世界は、
なんて過酷でなんて美しいんだろうと思いました。


デジタル・プロセッシングにより作られた意図的な残響は、
自然ではないためにぎょっとするような広がり方をします。
それが自分を取り巻く360度の壁からやってくるのです。
音は綺麗なのだけど異次元というか少し悪夢っぽさがあるというか、
それに浸れるだけのあの会場はとても良かったと思います。


清水靖晃さんの演奏は私も初めてみるものでした。
あんな歯切れよくリズムを取って、
ミニマルな演奏がサックスで出来るものなのか。
サックスのぴかぴか光る金色がとても渋くてかっこ良かった。
クラシックには疎い私ですが、
ピアノとサックスによる新解釈で全く別の曲になってしまうところ、
心底面白いなあと思いました。
軽快な曲も、少し切なげになるのは選んだ楽器の妙なのでしょうか。


渋谷さんのMCは淡々としているのだけどおかしくて、
見るたびに好きになってしまいます。
そして私も思うが芸術を扱うはずの日本の文化庁って本当にセンスがない。
特に音楽に関して蔑ろにされている面が多すぎて驚いてしまう。
でも今日はすごく素敵なライブを見ることが出来たので、
少し感謝をしています(文化庁イベントなのでした)。