赤い鳥逃げた?

赤い鳥逃げた?オリジナル・サウンドトラック
シネマヴェーラ渋谷にて「70年代の青春 鬱屈と混沌と」、
この日の一本目は藤田敏八の「赤い鳥逃げた?」でした。
出てくる若者たちの目が印象的でした。
動物みたいにぎらぎらしていて何か狙っているような目だった。
でもぐらついて危なっかしくて向こう見ずで、
社会と一線を画した空隙に生きているようなあきらめの匂いがする。
最初はコメディタッチで明るく進んで行ったように思うけれど、
後半は漂流して行くばかりでやるせない気分になった。
そして私は、こういうやるせない映画が好きなのであった。
桃井かおりのまぶしい肢体は勿論のこと、良かったです。
この頃の女優のふくよかなエロスは現代にはないものだな。


二本目は山根成之の「九月の空」です。
私はこの映画をとても気に入ってしまい、
今でも瞼を閉じるとじんわり思い出されてくるようです。
出てくる人たちが皆、自分を持っていてみずみずしいのが良かった。
まさにキャスティングの妙と言えると思います。
どの人物にも感情移入できるような、体温に近くて暖かい映画でした。
足元がおぼつかない青春というのを、
分かれ道をたくさん作ってやりながらも、
幸せになれるよう導いているようですごく良い気分になりました。
この監督の映画は今後もたくさん観たいです。