土偶は土から

冬の中に差し込まれる春の息吹が、だんだんと増えてまいりました。
植物も芽を出す機会を伺っているようでむずむずしています。
今日は良い風が吹いているけれど、
もしや明日また冷え込みに襲われるかもしれない、
そしてその判断如何では生死に直結する。
人間が生物としてものすごく鈍いのは、それが無いところ。
けれど春は人間もレーダーを働かせるので多感になる時期のようです。


S氏が最近、私の家に揃う大島弓子さんの漫画を読み始めています。
そして、私がどんなに大島さんの描くものが好きか、や、
ものごとの感じ方とその表現に影響を受けていることがが分かると言う。
後者は自分で意識したことがなかっただけに、とても嬉しかったです。
そう言えば大島さんも日々に植物と動物のある生活をされる人です。
季節の移ろいをとても敏感に感じ取られて、
それを絵と言葉にして綴れ織りにする。
私は一度で良いから大島さんの五感で世界を見てみたいと思う。
きっと生まれ変わったときの感覚なんじゃないだろうかと想像してみる。

上野公園を歩いて緑色の素敵な山を見つける。

東京国立博物館表慶館の頂なのでした。
のっぽの白亜の上に春色ベレー帽みたいで可愛いね。
帽子の左右の番人はてっきり半球儀を乗せた象と亀かと思ったら、違うのだった。

ほら、木が元気になってきている?
樹皮が赤みを帯びてみずみずしくなってきたような気がする。
2,3ヶ月して若葉が萌えいづる季節になったらそれは美しいことでしょう。

一方で既にフサフサモフモフの人もいらっしゃいます。
光線に負けじと構えたら、なぜだか苔のように見え、ミクロもマクロもない一枚。


この日は非常に楽しく興味深い「土偶展」を見たのでした。
わざわざ自分に似せたものを作るというのは人間しかやらないことです。
昔の人々が自分たちの力の及ばないものに対して持つ畏怖・信仰・祈りを、
形にすることがなぜなのか納得できた展示でした。
霊長類なんてフザケタ区分で勘違いをしないようにと戒められた気もします。