鷺ノ宮水道タンク

本日は水道タンクを頼りに早稲田通りから鷺ノ宮方向へ歩いてゆきました。
折りしも今朝は雪が溶け、そこかしこに水溜りがありみずみずしい散歩です。
家の屋根からぽたぽたたれる水滴もリズミカルに水面に反響を起こしています。

この街は電線が多くて、空を見上げると布のはぎあわせみたく細切れなのでした。
はるか上を飛行機がゆきます。
ぴかぴかライトを点滅させて、新たに白い縫い目が織り込まれてゆくのでした。

道の右手にはずらりと並んだそっくりなお家たちが佇んでいます。
挟んで左手には建設中の団地のひと棟、こちらは、
ずらりと並ぶ窓の人の手に触れられていない無機質感がとても怖いです。

どーんとお出ましになった水道タンク、夕闇に生えて素晴らしい雄姿です。
手前の明かりはもちろんごく普通の外灯なのですが、
こう撮ると巨大な照明塔のようでざわざわ異様な雰囲気です。

タンクの足元はぐるりと檻をはって守られていますが、
その中をよく見てみると4つ子の直角ダクトが伸びていてかわゆいのでした。
こんな夜はダクトがくねりだすかもしれません、塔を頭にまるで蛸のようです。
タンクの足元に広がる公園で、
団地族Jr.と思われる小学生らが雪でデンジャラスな遊びをしていました。
なんと、普通のお家くらいある高さの管理舎の屋根に乗り、仁王立ちです。
この団地の人々は実は忍者の末裔なのかと思うほどの軽業で、たまげました。
「天下統一!」なんて叫んでいて、あー男の子って馬鹿で可愛いなー。

鷺ノ宮は昔からの団地が生きている街です。
もう随分草臥れているような建物も多いけれど、無骨な表情がたまらなくイカス。

新しいだけの面白みのない新築が増えるのはいまいち嬉しくないなあと思いつつ、
建設途中のあやしい輝きにはぐっと来る始末で世話がない私でした。
だってなぜ緑色なのか、なぜ薄ぼんやりと光っているのか、教えて欲しい!

影の多いところは雪がたっぷりと残っていました。
小さな小さな雪だるまをいくつも見ました。
どんな人がどんな風に作ったのかなって、考えるだけで心がほこほこします。

かなり暗くなってからも歩いて進みましたが、
明かりぽつぽつがひと窓ごとに色が違っていてきれい、飴玉転がしたみたいです。


その後は折り返して高円寺へゆきました。
少なかったのか解けたのか、こちらには全然雪が残っておらず不思議です。
ぽくぽく歩いて喫茶店七つ森へゆき、暖かいオムごはんを頂き本を読む。
楽しくて、美味しくて、ちょっぴり寒かったけどよい夕方でした。