渋谷慶一郎 live

ATAK015フォー・マリア
ピアノの生の音が、
こんなにも間近で呼吸していることに驚きました。
インスタレーションと言い空間すべての方向を使うことで、
音の波に合わせて音楽が、流れては止まり、移ろいゆくのでした。
これはむしろピアノの中に入っているのと同義でした。
今日のliveはそれほどまでに最高品位の音質だったと思います。


楽家でデザインやアートも擁する活動をしている渋谷慶一郎さん、
実はまともに聞いたことは一度もなかったのでした。
初めて聴くのが生の音楽なんて、なんて幸せなことだろうか。
どんな情報も持ってないままの私のスポンジに音楽が染み込んできて、
素直に感動したライヴでした。


音響が素晴らしく整っているために、
私たちはピアノの海の中で、
弾き手の感情をつぶさに感じ取ることができました。
音楽という意味ではなくて音響という意味で、
気持ちの揺れ動きがあんなに表現されるとは信じられないほどです。
それは美しくて気持ちの良いものでした。
でも、すごく緊張感に溢れていて油断すると溺れそうでした。
初めて聞いた人間がこんな勝手なことを書くのは失礼かもしれないけれど、
喜びも悲しみもそれを超えた無常もどっと波のように押し寄せてくる。
私は目を見開かずには居られなかったし、鳥肌が立ちました。


中でも特にBlueという曲に惹かれました。
言葉を無くす力を持つ音楽ってものがあるものなんだなと思います。
エリック・サティデビット・ボウイの曲も、
アレンジが素敵に施されていて面白かったです。


何にも代え難い体験を提して下さった渋谷さんとS氏に感謝します。
CDもきちんと聴いてみようと思います。
そしてまた改めてliveに行きたいです。