萩尾望都原画展

私の所属する…といっても一人なんですが、研究所ORION LABOは、
当初タダトス・ラボにしようかとも思っていました。
タダトス・レーンは萩尾望都の「11人いる!」の主人公の名前です。
「11人いる!」は幾多の作品のなかで私が一番好きなものなのでした。
中学生の頃初めて「ポーの一族」を読んでからというもの、
沢山の影響を受けて来たことを思いながら、
萩尾望都の原画展へゆきました。
40年間の業とはこういうものかと、実に見ごたえのある展示です。
そういう訳で一番印象深かったのも「11人いる!」でした。


試験会場から宇宙船に乗り込むシーンとグッドラックという台詞、
淡いブラウンで色づけされた画用紙に描かれた原画は素晴らしかった。
行ったこともない空の彼方を、きっとこうだ、こうに違いないとまで思わせる。
私も大きなボタンのついた宇宙服を着て試験を受けたいな。
願わくばスクランブル発生のボタンを押すシーンも見たかったです。ピー
私はあの華奢な手の指先が平たいところが無性に好きなのでした。
萩尾望都の描く手はしっかりと大きく良く働く手で、
人物の顔と同じくらい情緒豊かなんです。
漫画はほぼ白と黒の線画なのに、
表現者の内側が豊かであればあるほど色味を帯びてきます。


百億の昼と千億の夜」ははじめて読んだときものすごく衝撃を受けました。
現世に戻ってこれなくなるくらい傾いてしまっていて、
ひどく怖かったのを覚えています。
何度も何度も読み返したけれどまだ難しい。
その阿修羅王の画がとても美しくて哀しげで、迫るものがありました。
私は優しくて強い女の子(性別がなくても良いけども)の出てくるものが好きです。


もちろんポーもトーマも良かったです。
でも、うっとり見たというよりは、
昔はなかった思索に繋がったりして新鮮な気持ちで眺めていました。
そういう作品をまた読んでみようと思った午後でした。
漫画なんて究極のアナログ活動であって、
このように丁寧な仕事を覗いてしまっては今後一ページが重く感じることでしょう。
丁寧に読まなくてはね。


その後高円寺のブラインド・ブックスに寄り、
やっとYASO夜想「モンスター・フリークス特集」を買いました。
成山画廊コレクションとフリークス的ブックガイドがとても嬉しいです。
様々な事柄が頭をよぎり今夜は眠れそうにない。