鎌倉

よく晴れた文化の日、鎌倉へ行きました。
すっかり冬の装いをして、えりまきでふかふかになって、電車に乗り込みました。
このあたりの駅名はつくづくとても素敵だなと思います。
大船、横浜、藤沢、逗子…
海や水にゆかりのある響きだったりして頭の中に淡い水色が広がります。


鎌倉に着くと気付いたことがありました。
背の高い建物が少なく空がすこーんと開けていること。
道路は狭いけれど、くねくねした楽しい路地が待ち受けていること。
なんだかそれだけでも随分遠い地に訪れたようで、とても嬉しく感じました。
お昼には鎌倉の百苑というお店できしめんを頂きました。
手打ちのもちもち麺と優しい昆布だしでお腹がくちくなったところで、
江ノ電に乗ってちゅーちゅーがたごと!


長谷の大仏さまにお参りをします、実は初めての体験。
高徳院は大仏殿がないので豊かな自然がそのまま背景に映ります。
それはきっと山や海を大事にしてきた鎌倉の人たちの生き方そのものです。
切れ長の目の美男子、とよく形容されますが、その通りでしたよ。
真下から拝むと思慮深い半眼、憂いの表情でした。


折角なので胎内にも入ってみましたら、
銅が日光で温まったようで、触るとぽかぽかした肌。
究極の愛と称して、
自分の腹を割り相手の手を温めてやるという猟奇小説を思い出した私は、
罰当たりかもしれません。


江ノ電も素敵な乗り物ですが、
自分の足で好きに動き回るのもまた愉快な発見があるものです。
長谷〜鎌倉へはてくてく歩いていきました。
おせんべいやお団子、アイス、コロッケ、
まるで浅草みたいに買い食いに拍車がかかってしまうのはお寺はどこでもそう?


目的の一つ、沼田元氣先生のお店コケーシカへ到着しました。
清潔な白でまとめられたお店の中に色とりどりのマトリョーシカこけしがよく映えます。
100%orengeさんの原画こけしは本当に可愛くて、
絵も表情も個性があるものだからガラスに張り付いて見てしまいます。
この子はこんな性格かなあとか、男の子みたいな女の子かなとか、物思いに耽りました。

悩んだ結果、100%orengeデザインの「リトル・ブッダ モノトーン」の、
マトリョーシカとハンカチをお家につれて帰ることにしました。
可愛い顔の子を吟味厳選したのでもう頬ずりしたいほどです。

コケーシカ向かいの吉屋信子記念館、
少女小説の第一人者である方が住んでいたこちらは、
数少ない一般公開日に当たっていたのでもちろんのことお邪魔しました。
大きな庭と空間がたっぷりとってある環境は本当に羨ましくて、
執筆もさぞかし進んだのであろうと思わせる風情あるお家でした。
私の好きな澁澤龍彦宅も鎌倉のはず、と鎌倉にいる間中考えていました。
もし、まかり間違っていつかお邪魔できるようなことがあったなら、
それはそれはうっとりするだろうな。


念願のロミユニコンフィチュールというお店でジャムを一瓶買い、
紅谷でくるみっ子というお菓子を買い、
ほくほく顔で鎌倉を後にしました。

薄暗くなった参道を歩きながら、星がきれいに見えることに気付きました。
海が近くて星が見えるところ…理想的です。
ありがとう鎌倉、また来ます。