新江ノ島水族館

よく晴れて空気がぬるんだ日曜日、江ノ島まで電車でごとごと出かけました。
ちびっ子たちで大賑わいの新江ノ島水族館にさっそく私も潜入します。

相模湾を切り取った大水槽は圧倒でした。
エイは海の中を泳ぐ大風呂敷のようです。
顔じゃないとわかっていても裏面でみんなにこにこしてくれると嬉しくなります。
奥では鰯の大群が曲芸を、ギラリと光るお腹がミラーボールのようです。

ひらひらが美しいカサゴは意外とおっとりと海の中を泳いでおりました。
でも実は毒をもっている、きのこと同じで派手な見た目には一癖あるのでした。

1mはありそうな手の長い蟹、節々がメカニックで格好良いのです。
自然の造形物って本当に想像も及ばない美しさです。

黙して語らず編その1、擬態の上手さに舌を巻くぺっとりさん。
ついに泳ぐ姿は拝めませんでしたが君は本当にエイの仲間なのか。

その2、まるまるしている蟹。
目だけでご機嫌伺いをしている当たり、只者ではありません。


楽しみのひとつ、スケーリーフットは残念ながら展示が終了していました。
これは硫化鉄の鱗を持つ深海の巻貝で、
海底の熱水噴出域に含まれる化合物を利用して鱗を作る珍奇な生物です。
けれどもその深海の生物ブースがとても面白かったのです。
視覚が不必要なのと苛酷な環境に耐えるため、
甲虫のような変わった生き物たちが蠢いているのです。
人が生きている場所なんて本当に狭い狭い区域で、
足元の海やその底にはこんな多彩な世界が広がっているかと思うと感動しました。



どっしり、まるで古代からいらしたような趣あるお顔です。
このぶりんとした唇はどんな質感なのかが気になります。

この黄色いものはチョウザメの卵です。
幼い頃から図鑑で見るたびに思っていました。
豆のさやみたいで変てこな形だなあ、ねじり紐まで付いているし…。
本物を間近で見てみれば中の赤ちゃんが元気に躍動しているのでした。
小さな小さな身体で命を背負って、目を開いて外を夢みている、
それは本当に感動的でした。



柔らかい物体が青を背景に伸び縮み、それはそれは夢のような出来事です。
ガラスにぴったり張り付いて観察をしました。

光の気まぐれで、魔法がかかったような具合になりました。
足の付け根のぽわぽわしたレースが可愛らしいたこくらげ。

妖艶な魅力を持つあかくらげは品のいい笠をお持ちです。
絡まりそうな危うい足の絹糸は海水で梳くのでしょうか。

明滅する飛行船のようなうりくらげは、それ自体がくるくる回転します。
これ以外にもみずくらげ、さかさくらげ、おわんくらげにびぜんくらげと、
もうここで一晩明かしたいほど幻想的でこの世を忘れる光景でした。
ああ素晴らしき海の中のギヤマンたちよ。


閉館時間が迫り名残惜しく水族館を後にしました。
またいつか近いうちに、海の生き物たちに会いにゆきたいと思います。