私の峰に雪つもりつ

halujion2009-12-31

いつものように目が覚めたらそこから一日が引き出されてゆく。
今日のお終いの先に2010年が結わえてあって、
もう、少し見えているはずです。
でも2009年最後の日という実感が今年はなぜだか薄い気がしました。
例年、家々は静かにこもったようになり、
空気がずしりと湿って紺色になってきて厳かな雰囲気になってゆくのにな。
田舎も季節の行事が前より曖昧になってきたのだと思います。
それはそれとして、私は数の子の塩抜きをして皮を剥いている。


それでも日が暮れてからは心が落ち着いてきます。
夕飯をこしらえていると空が鳴りました。
この辺では雪起こしと言って、大雪の前に必ず雷がごろごろ鳴るのでした。
あれよという間につもるつもる、もう一面の銀世界交響曲です。


雪は音を吸うので、夜中は怖いくらいしんと鎮まりかえります。
この家だけが周りから隔離されて雪の中に埋もれていってしまうような気がする。
外から見るときっとかまくらみたいにふっくらした雪帽子にしか見えなくて、
窓から黄色い明かりが少し散っているけど、じきにそれも隠れてしまう。
一人で本を読んでいるとそんな事ばかり脳裏をよぎって集中できませんでした。
お友達が寄越した「良いお年をメール」のたびに携帯電話がぶるぶる震えて、
それだけが外界との接点のように感じました。
私はテレビもラジオもつけない生活をしているけど、
そんな暮らしの中でも大晦日は一番こころが静かな夜だと思います。


窓を開けるとはるか遠くに除夜の鐘が聴こえます。
山一つ向こうの低音が聞こえるのも雪の日だからこそかも知れません。
ここ何年か大晦日は雪で、冬生まれの私は雪が大好きなので嬉しいのです。
明日は子供みたいに雪で遊んじゃう!
何より家族が全員無事で、そろってお正月を迎えられたことがありがたいです。
ありがとう、最初で最後の2009年。