プチガトウ

12月は一年のうちで私が一番好きな月です。
だってクリスマスがあるんですもの!
街中が浮き足立って赤や緑や金色に溢れて、
どこもかしこもクリスマスソングが流れている。
耶蘇教でなくっても大事な人を思って祈ったりわくわくするのは素敵なこと。
ただでさえ、最も忙しないと言っても過言ではない月なのです。
それが内へ外への大行脚、沢山の予定がぎゅっと詰め込まれると、
毎日が濃厚なココアのようにこっくりと大切に感じられます。
むしろ尻尾が見えてきた2009年を大切にしたいということを、
思い出させるというべきか。
ココア味の尻尾を味わって一口ずつ体の中に入れていこうと思います。


クリスマスが近づくと心をこめてお家でお菓子を焼きます。
私の作るお菓子は見ためが素朴なので、
ラッピングは色とりどりめかし込んでほうぼうへ送り出します。
見た目は素朴なのですが、ほっとしちゃあいけない。
中身のバターや生クリームや卵はさしもの私でも(?)良いのを奮発します。
お菓子は心と笑顔のためのプレゼントだと思います。
だから、ここぞとばかりに豊かに美味しくというのが私の思うところです。
野菜云々やらカロリーがどうのには耳をふさぐこともまたひとつ。
変に栄養食品じみたお菓子はお菓子ではない!
甘く可愛く美味しくて、ちょっとの罪悪感を持つのが、お菓子。



最近作ったもの、ひとつはハニーフロランタンです。
泡立て器すら使わないくらい簡単ですが、
生クリームのキャラメリゼがアーモンドのぱりぱりと輪唱です。
ハーモニーフロランタンって呼びたいくらいのコンビネーションです。

もうひとつはバナナのパウンドケーキです。
紅茶の茶葉がたっぷり練りこんであるので焼き上がりはとても良い香り。
私が家で飲むことは少ないけれど、
焼き菓子のためにいつも台所の傍らに鎮座ましますのが珈琲や紅茶です。

最後のひとつはしょうがとくるみのスノーボウルです。
この時期にぴったりの冬らしいおやつなので、
こちらは既に雪が降ったよと言う人たちへさっそく贈りました。
名前と相反するあったまるイメージで生姜をすりおろして入れました。
この背景は稲垣足穂の師の佐藤春夫の本で、
真っ赤なカバーがこれまた妙にクリスマスしてしまった日本文学全集であります。
雪の降る町、はいつもと違った顔に見直してしまう「美しい町」。